曖昧な住宅の耐震性と定義の仕方

耐震性とは地震に対する抵抗力のことですが、その定義は曖昧です

現在の建築基準法は50年に一度の頻度で起きる中規模の地震に対しては建物が変形せずに耐え、500年に一度発生する程度の大規模地震に対しては、建物が変形しても人命は守るという方針でつくられています。

すなわち、頻度の高い地震には問題なく耐えるものの、稀に起きる巨大地震では建物がそれなりに壊れることを容認していることになります。

このことは鉄筋コンクリート造や鉄骨造には言えるものの、木造の一戸建てに対してはそうとも言えません。

それは、木造の一戸建てに関する規制が遅れていることを示し、所有者レベルでの対策が必要なことを物語っています。

一戸建ての所有者がどの程度の耐震性を求めるかの基準は示されていません。

しかし、通常はどんな地震が起きても家族の命を守りたいと思うのは当然のことです。

そのレベルまで建物の強さを高めることが、当面の目標となるのです。

新築であれば住宅性能表示制度の耐震等級3が必要で、耐震改修の場合はそれに匹敵するレベルまで補強することが必要となります。

すなわち、建築基準法に定める最低限度の基準を満たすだけでなく、それ以上の強さを建物に求めることになるのです。

建築基準法で定める筋違い工法を採用する場合はかなりの耐震壁が必要となることは避けられません。

残念ながら、十分な耐震性を持つ日本の伝統木工法を使うことは、現行法の元では難しいのが現状です。

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